パート主婦と扶養(社会保険)の範囲

法律

パートの社会保険

夫の扶養内でバイトしたい。。

パート主婦と社会保険
-130万円の壁-

社保

- 2015.07.06 -

扶養の意義

パート主婦は、夫の扶養内で働くことを、希望されることが多いと思います。
前回は、 税金上の扶養の範囲とは について、解説しました。
今回は、社会保険上の観点から、扶養の範囲を見ていきます。

まず、前回のおさらいです。
扶養とは、大きく分けて下記、2つの意味があります。

  • ①税金上の扶養
  • ②社会保険上の扶養

社会保険上の扶養とは、巷でよく聞く「130万円の壁」のことを指します。

では、パート主婦が扶養に入ることで、どのような金銭的メリットがあるでしょうか。
以下では、社会保険上の扶養の仕組みを見ていきます。

社会保険の被保険者とは

夫がサラリーマン等の場合、会社で社会保険に加入しています。
ここでいう、社会保険とは、以下を指します。

  • ①健康保険
  • ②厚生年金保険

会社は従業員(正社員)を雇った場合、社会保険に加入させます。
このとき、夫は社会保険の加入者(=被保険者)となります。

社会保険料は、月例給与の金額を基礎として計算され、給与天引きされます。
天引きされた社会保険料は、会社経由で国に納付されます。

一方、パート・アルバイトでは社会保険に加入できない場合があります。
具体的には、以下のような人です。

  • ①一日の労働時間が一般社員の概ね3/4未満
  • ②1ヶ月の労働日数が一般社員の概ね3/4未満

このような方の場合、職場で社会保険に加入できません。

一方、上記に該当しない場合、パート・アルバイトであっても、強制加入です。
その場合、年収が130万円未満であっても、関係ありません。
また、本人の意思により加入しない、という選択もできません。

上記要件を満たし、年収が130万円未満であれば、所謂、夫の扶養に入ることができます。

夫の扶養に入った場合、妻自身が社会保険料を払うことは無くなります。

扶養を外れた場合の、社会保険料の計算

パート年収が130万円以上となった場合、自身で社会保険料を支払います。
(もしくは、労働時間(日数)が3/4以上となった場合も、該当)
では、勤務先会社で社会保険に加入した場合、どの程度の保険料が発生するでしょうか。

社会保険料は、年齢や地域、月例給与の割合等によっても、異なります。
しかし、ある程度の目安は、 社会保険料計算ツール で試算が可能です。

仮に、パート年収:130万円だと、17万円程度の社会保険料負担となります。
主婦が労働時間(日数)や、130万円ラインを気にする所以は、ここにあります。

税金上の扶養、社会保険上の扶養、どちらを優先?

これまでの説明により、

  • ①103万円の壁=税金上の扶養
  • ②130万円の壁=社会保険上の扶養

という構図と、各金銭メリットは理解できたかと思います。

パートの扶養控除:103万円の壁とは で見たとおり、税金メリットは、夫の収入がポイントです。

しかし、夫が高所得者でない限り、社会保険上の扶養を優先した方が、良いと思われます。
つまり、多くのパート家庭の場合、103万円~130万円で調整することになります。
このとき、世帯手取り額は最も大きくなるでしょう。

他方、会社の社会保険に加入することに、メリットも存在します。
具体例は以下の通りです。

  • ①将来の年金額が増える
  • ②出産手当金が受給できる

将来的人生設計も含めて、働き方を選択するのも、一つの方法です。

法改正の動向

平成28年10月より、法改正により、「130万円の壁」が崩れます。
具体的には、「106万円の壁」に引き下がる予定です。

ただし、当面の適用は一定規模以上の大企業に限られます。
(従業員:500人超等の要件あり)

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